「千秋くん、前髪切ったらいいのに」 しぃちゃんが僕の顔をまじまじと見ながらそう呟いた。 前髪・・・。 顔を隠すために伸ばしてる、前髪。 僕はキュッと口を結ぶ。 「きっと、素敵だと思うのにな」 しぃちゃんの言葉は、どうして。 どうしてこんなにも、胸に温かく響くんだろう。 変わりたくないと頑なだった心が、ほどけて溶けていくよう。 「綺麗な目、してるのにもったいないよね」 いつだって、僕の喜ぶ言葉をくれる。 しぃちゃんといると、僕は俯かなくていい。 あったかな心で顔をあげていられる。