「俺たちさぁ、お金に困ってるんだよね。ほら、それパンっしょ?パン買うお金があるんだから、俺たちにも恵んでくれねぇかなぁ?」

「恵んでって、ホームレスかよ、ばっかでぇ」

「てか、そんな回りくどいことしなくても・・・」




後ろから出てきた唇にピアスをつけた目つきの悪い男が、金髪を押しやって俺の胸ぐらを掴み壁に叩きつけた。
背中に受ける衝撃にギュッと目を閉じ、鞄を握りしめた。




「うわーげすー」

「うっせ。・・・もってる金、全部出せ。身体、傷つけられたくなかったらな」



低い声ですごまれ、僕の身体は恐怖に震える。
震える手で、鞄のチャックをあけていく。


早く、終わらせたい。
こんなところいたくない。



怖い。




言い返すこともできない。
そうすることをやめてしまった僕は。



なんて惨めなんだ。





「お巡りさん!こっちです!」





突然聞こえてきた女の声。
僕の胸ぐらを掴んでいた手がパッと離れた。