このまま近道をして家に帰ろうと歩き出した。
近道には少し路地裏を通る。
そこを通り抜ければ元来た道を戻らなくても家に向かえる。
パンの入った袋を下げ、足早に歩き出す。
パンの柔らかな重みが、足を軽くさせる。
「こんなところでネズミちゃんはっけぇん」
「ぷっ、なんだよ、ネズミちゃんって、きめぇ」
「袋の鼠っていうじゃんー」
「バカだこいつ」
路地を曲がったところで、不穏な雰囲気に足を止めた。
煙草の臭いが立ち込めるそこには、金髪の男たちが気味の悪い笑顔を浮かべ立っていた。
「少年、君はいいところに来た。俺たちの救世主だよ」
「バカがまたなんか言い出したぞ」
一人の金色の長髪男がゲスイ顔を近づける。
周りの男たちはケラケラと楽しそうに笑う。
心の中の警報が鳴り響く。
ズクン、と頭が痛み恐怖を思い出し身体が震える。


