「そうだ。追試無事に通過したんだよ」 嬉しそうな声で彼女は言う。 僕は小さく頷いた。 「久賀くんのおかげだね。ありがとう」 屈託のない笑顔でそう言われると、僕は胸がキュウっと締め付けられるみたいに。 嬉しくて、でも、申し訳なくて。 声にならない言葉。 声の出し方を忘れてしまった僕は、君に伝えたい思いを持っちゃいけないんだ。 望んではいけない。 これ以上。 信じたい、信じられない。 そんな思いの狭間に僕はいる。