どうして二ノ宮さんは、こんな僕と一緒にいてくれるんだろう。
周りの人みたいに、変なものを見るかのような視線とか。
当たり障りないように過ごすとか。


そう言う風に、思わなかったのかな。




こんな僕に、話しかけようとする人なんて今までいなかった。




僕自身も、それを求めていなかった。





「あ、久賀くん、頭こっちに降ろして」




クイッと引っ張られた袖。
訳も分からぬまま頭を下げると、二ノ宮さんの指先が伸びる。




「桜の花びら。当たりだね」




そうして笑う彼女の顔が、思いの外近くてドキドキした。




どうして彼女は僕の、側にいてくれるんだろう。