「芹川くん、どうしてここに?」

「あ?ああ・・・。俺も飲み物買いに」

「そっか」



あれ、なんだか普通に話せてる?
芹川くんはもう間近に迫っていた自販機に向かうとポケットから財布を取り出した。



「お前、何飲むんだ」

「え、あ、私はいちご牛乳」

「ふぅん、」



そう言うと芹川くんはボタンを押し、中から取り出したいちご牛乳を私に差し出した。




「え?」

「ついでだから、さっさととれ」

「で、でも」

「いいっつってんだろ、迷われる方がウザい」

「ご、ごめん。ありがとう・・・」



慌てて受け取ると芹川くんは今度は自分の飲み物を買う。
口は悪いけど、いい人?




私、噂でしか芹川くんを見てなかったんだ。




「あいつ、変な奴だよな」

「え?」

「あの女」

「しぃちゃん?」

「知らんけど、それ。俺なんかと関わっていいことなんかねぇのに。お前みたいに、ビビってくれた方が楽だわ」

「え・・・あ、ごめんなさい・・・」



気づかれてたんだ。
当たり前だよね・・・。
あからさまだった。