「運命かどうかより、その人と自分がどうなりたいのか。それが大事なんじゃないかしら」

「どうなりたいか、か。そういう未来が見える相手に出会えるかな」

「きっと。もしかしたら、案外近くにいるものかもね」

「ええー」




私が千秋くんと出会ったのだって、偶然。
あの時同じクラスにならなければ。
それまで自分から話しかけたりしてこなかった自分が、あの時だけは自分から声をかけた。
そのきっかけがなかったら。


きっと今の私はなかった。




「しぃちゃん、お腹すいたんだけど・・・」

「あ、お父さん!」

「あ、志帆。いたんだ・・・」

「いて悪かったわね!まったく、いい歳してしぃちゃんだって」

「もう、志帆!からかわないの」




昼食の準備中だったことをすっかり忘れていた。
待ちきれなかったのか、あの頃よりすっかり歳を重ねた千秋くんが顔を出す。

私もずいぶん歳をとった。