「・・・っ、こんなの、こんなちーくん、私の望んだ人じゃない!」
皐月ちゃんが、ヒステリックに叫ぶ。
「こんな・・・こんなの、私が求めてるヒーローじゃない!もっと弱くて儚くて・・・前のちーくんに戻ってよ!」
「僕は、皐月ちゃんのヒーローにはなれない。ううん。ならないよ。僕はもう、過去は振り返らないって決めたんだ」
皐月ちゃんが、過去の僕を求める以上。
僕は皐月ちゃんの求める僕にはこの先なれることはない。
過去の僕はもうおいてくるって決めたんだ。
もう逃げない。
もう護られるだけの僕は終わり。
「僕だって、大切な人を護れる男になるんだ」
「護る男なんて・・・いらない。・・・私は、護ってあげたい人がいいの!」
きっと最初から、皐月ちゃんは僕なんて見てなかったんだ。
皐月ちゃんの中の理想の誰かと、僕を重ねていただけで。
「そうじゃないちーくんなんて、いらない!」
きっと、僕じゃなくてもよかった。


