なんだか、心の中が静かだ。
許せない気持ちで憤っているはずなのに、心拍数は落ち着いて足取りもしっかりしている。
覚悟が決まるって、こういう事なのかな。
「ちーくん、いったい・・・」
「皐月ちゃんが、僕をどんなふうに利用しようとしていても、別にどうでもいい。思惑通り、情けなくも傷ついてかっこ悪く堕ちてしまったけど」
淡々と。
「別に、そのことで皐月ちゃんを責める気は、ない」
きっと。
いくら堕ちたところで。
皐月ちゃんの手で僕が浮上することはないから。
僕を救ってくれるのは、いつだってしぃちゃんで。
しぃちゃんしかあり得ない。
「皐月ちゃんの言い方で言えば、僕のヒロインは、皐月ちゃんじゃありえない」
だから、皐月ちゃんの思い通りにはならない。