これ以上、誰も傷つけたくなんてないのに。
だからこそ、僕はその手を放したっていうのに・・・。



「・・・、僕が・・・弱いから・・・」

「千秋くん・・・声・・・!」

「弱くて・・・狡くて・・・、最低なんだ・・・」





スッと喉の奥が開くような。
流れるような息が。
漏れ出した音が。




「皐月ちゃんのことで・・・過去を思い出して苦しくなってた。皐月ちゃんが許せなくて、憤りを感じたのに・・・。僕は、僕は・・・、何も言い返せなくて・・・」

「そんなの、仕方ないでしょ?話で聞いたけど、ひどい話だった。言い返す言葉も出なくて当然だよ」

「でも、それでもしぃちゃんは、僕のために怒ってくれて・・・。僕のせいで泣いてた・・・」





僕の想いを紡いでく。




「僕は・・・しぃちゃんを護れない・・・。傷つけるばかりで・・・。しぃちゃんを護ってくれるのは、いつだって亜衣ちゃんとか・・・柊二くんとか、他の誰かなんだ・・・」

「本当に、そう思ってんのかよ」



不機嫌そうに眉を寄せた柊二くんが僕を睨むように見た。