「階段の、一番上あたりから倒れるように落ちたらしい」




病院までの道のりは、歩いて行ける距離だった。
その時の状況を柊二くんに聞きながら歩く。



「倒れるようにって・・・」

「ちょうど目の当たりにした奴が、躓いたとか踏み外したとかじゃなくて倒れたって言ってた」

「・・・しぃちゃん、最近すごく顔色悪くて心配だったんだ」

「そうだな」




僕は話を聞きながらしぃちゃんの無事だけを祈って必死に歩いてた。
しぃちゃんには笑っていてほしかった。
僕といないほうが、きっとしぃちゃんは幸せで、笑ってられると思ったんだ。

だって僕は、しぃちゃんに護られてばかりで泣かせてばかりで。
しぃちゃんにとっての足手まといでしかない。



「・・・なあ、千秋」




柊二くんがぴたりと足を止め僕を見る。
僕と亜衣ちゃんも同じように足を止めた。




「お前さ、なんの為に雫と別れた?」