「久賀くん、これ」




私は鞄の中からノートを取り出し久賀くんに渡した。
久賀くんはそのノートと私をチラチラと交互に見る。



そのノートは、水玉模様のごく普通のノート。
家にあった使ってないノート。



「このノート、久賀くんにあげるね。私と話すときにこれ使って」




そう言って差し出すと、躊躇いがちに伸ばされて綺麗な手。
受け取ってくれたのを確認して手を放した。




「学校じゃスマホは出せないし。久賀くんの字、綺麗だから見たい」



邪魔にならないように小さめのリングノートにした。
これで、もっと久賀くんの事が知れたらいいな。




「使ってくれる?」



そう聞くと、久賀くんは頷いた。