「いい加減、邪魔するのやめてくれない」

「じゃあ、考え直してくれる?」



その日もまた、千秋くんを待ち構えていた皐月ちゃんを千秋くんより早く教室を出て引っ張り出した。
そして必死にお願いしてる。




「ほんと、彼女面とかウザいんだけど」




ぐさりと胸に刺さる言葉。
彼女なんかじゃない。
でも、それを皐月ちゃんに言ったら、余計こじれてしまうから。




「土下座してよ。それくらいしてくれなくちゃ気がすまない」

「・・・そうしたら、諦めてくれるの?」




皐月ちゃんが、本当に心から千秋くんの事が好きで千秋くんのところに行くのなら構わないんだ。
でも、皐月ちゃんはそうじゃないから。
その上、千秋くんを傷つけることをよしとするやり方は、絶対に認められない。


許すことなんてできない。




「誠意を見せてくれたらね」

「・・・」



唇を噛んで私はゆっくり地面に膝をついた。
土下座くらい、たやすいことだ。
それで、千秋くんが護れるのなら。