あの後、私たちは先に病院を後にした。
治療はとりあえず今後の様子を見て進めていくらしい。

次の日には退院した千秋くんは、1日休み、今日から登校するらしい。
本当はもう少し休んでもいいとお母さんは言ったみたいだけど、千秋くんが行くと言ったみたい。



靴箱で千秋くんを待つ。
そわそわしながら待っていると、千秋くんより先に亜衣が部活から戻ってきた。



「千秋くんは?」

「あ、うん。まだ・・・」




亜衣にも千秋くんの状態と、皐月ちゃんのことを話した。
同じように泣いて怒った亜衣も、千秋くんのことを心配して来てくれたんだ。



「あ!千秋くん!」



靴箱に入ってくる千秋くんが見えた。
千秋くんは俯き気味にゆっくりした速度で歩いてくる。
纏うオーラは沈んでいて胸が痛む。



「千秋くん、おはよう!」



私は努めて明るく声をかける。