『僕の名前は、久賀千秋です。よろしくお願いします』




差し出されたスマホ。
新しく記されたのは、その言葉だった。

私は嬉しくて何度も何度も視線でなぞる。




「私の名前は、二ノ宮雫です。こちらこそ、よろしくお願いします」




友だちの第一歩。

友だちになろうと言ってなった友だちは、きっと初めて。
自分から友だちになりたいと思ったのも、きっと初めて。




差し出した手に重ねられた久賀くんの手。
私より少しだけ体温の低い、冷たい手。



それでも、優しく包み込むような綺麗な手。




“友だち”




「メロンパン友だちだね」





にっこりと微笑むと、久賀くんは照れ臭そうに俯いた。