ただ自分が側にいたい。
ただ自分がヒロインでありたい。

たったそれだけの陳腐な理由で千秋くんは苦しめられたの?




「現実は少女マンガじゃない!千秋くんは、マンガの登場人物じゃない!生きてる人間なの!」





私は皐月ちゃんに掴みかかり怒鳴る。
許せない。
悔しい。

こんな人だったなんて。



私だって、皐月ちゃんの力になりたいって本当に想ってた。
千秋くんが優しくて放っておけないってわかってた。
だからこそ、私だって少しは役に立てたらって。




「それなのに・・・!あんたなんかに千秋くんは救えない!救わせたりしない!」



あなたの思い通りになんてするものか。
何度だって私が寄り添って。
何度だって私が千秋くんの側にいる。



こんな人なんかにその居場所を奪わせたりしない。




「おい!」



柊二くんが私を止めに入る。
その手から逃れながら皐月ちゃんに手を伸ばす。
こみ上げる色々な感情が涙として溢れだす。
許せない。