「ちーくん・・・」



校門を出たところで待っていたのは、皐月ちゃん。
その姿を見て、息が詰まった。

グルグルとあの頃の記憶が、蘇ってくる。



皐月ちゃんは、手に包帯を巻いて頰にガーゼをつけた姿だった。



“どうして、うちの子がこんな目に・・・!”



お母さんの叫びが蘇る。



「皐月ちゃ・・・どうし、」

「学校の子がっ、生意気だって階段から・・・」



泣き出した皐月ちゃん。
僕はこみ上げる吐き気に回る世界に耐えながら皐月ちゃんに手を伸ばした。



「とりあえず、場所変えよう」



グワングワンする思考の隅で、しぃちゃんに見られたくない思いが浮かんでそう言った。