「おはよ、千秋くん」

「おはよう、しぃちゃん」



教室でいつもの笑顔で迎えてくれたしぃちゃん。
ああ、やっぱりしぃちゃんはすごいや。

しぃちゃんに会うだけで憂鬱だった心がこんなにも穏やかになる。



「どうかした?なんだか顔色悪い気がするけど」

「え?そんなこと、ないよ」



些細な顔色の変化までしぃちゃんは気づいてくれるんだ。
嬉しくて、なんだか泣きたくなった。



でも、話せないよ。
皐月ちゃんとはもう2人で会ったりしないって言ったのに。

しぃちゃんを悲しませたくない。
傷つけたくない。


だって、僕だってしぃちゃんが他の誰かと2人きりになるのなんて嫌だから。



だから、言えるわけない。




「昨日、面白い小説を見つけて遅くまで読んでたんだ」

「えっ?夜更かし?ちゃんと寝ないとダメだよ」



優しく諭すように言われ、僕は気恥ずかしく頷いた。