「千秋くん、ごめんね。お手伝いしないと申し訳なくて帰れないから」
「・・・ううん。しぃちゃんが悪いわけじゃないし。気を遣ってくれてありがとう」
「終わったら千秋くんの部屋に行くね」
「うん。わかった。待ってる」
しぃちゃんに言われてしまうと、僕はなにも言えない。
仕方なく部屋に向かった。
ずっと悲しげな笑顔ばかりだったお母さんに、普通の笑顔が戻って。
その上、あんな風に楽しそうにされると、やっぱり今まで僕のせいで辛い思いをさせてたんだなって思う。
僕も、お母さんも、きっとしぃちゃんに救われたんだね。
だからこそ、お母さんもしぃちゃんの事をあんなに気にかけるんだ。
そういうのがわかってるし、あまり強くは言えないな。
二人が仲よくなることは、嬉しいことだし。
「でも次は、ずっと二人でいられたらいいな」
今日はそういえば、初デートだったのに。
なんだかすっかりそんな雰囲気じゃなくなった。
早くしぃちゃん、戻って来ないかな。