「ちーくん!」



あれから。
伊永さんは、毎日のように学校が終わると千秋くんを校門まで迎えにやってくる。

伊永さんの高校はここから徒歩15分ほどの場所にある女子校らしい。
それにしたって、毎日この時間に間に合うようにくるのって可能なのかな?



「皐月ちゃん。こんにちは」

「今日も一緒に帰ってもいい?」

「えと、」



千秋くんが躊躇いがちに側にいた私たちに視線を向けた。




「あ、ごめんなさい。みんなも一緒でも私は構わないから」




その言い方に少しムッとしてしまう。
私たちが2人の邪魔をしてるみたいな。
なんか、気に入らない。



「いいよ。私たちは学校でずっと一緒だし。帰りくらい一緒に帰ったら?」

「本当?嬉しい。ありがとう!」


嫌味のつもりで言ったのに。
だめだ。
これ以上いると、私どんどん嫌な人になっていく。