「きっと、その時からちーくんは苦しんでたんですね・・・。それなのに、私なにも知らなくて。今になって知って、すごく悲しくて・・・」




いつの間にかポロポロと泣き出した伊永さんに、私は目を見張る。
なんで、初対面の私たちの前でこんな風に泣けるの?




「ごめんなさい・・・。私、だからもう、後悔するのは嫌なんです」

「後悔・・・?」

「これからは、私がちーくんの側にいて、支えたい。それを、言いたくて来たんです」





これは、宣戦布告といったところなのだろうか。
それとも、戦うつもりなど毛頭なく牽制しに来たという事なのか。




「へぇ。だからなに?」

「え?」




静かに黙って聞いていた柊二くんが、全く興味な下げにそう言った。




「それはあんたの願望であって、それを俺たちに言ったところでなにになんの?」

「柊二くん・・・」

「あいつが苦しんでたのを知らなくてなにもできなくて悲しい。とか、なに悲劇のヒロインぶってんのか知らんけど。だからなに」





柊二くんのはっきりとした物言いに、伊永さんは息をのむ。