僕が思っている以上に、世界は優しさで溢れているのかもしれない。
そう思えるようになったのは、きっと僕の周りがそうであるから。
「どうしてテストなんてあるんだろう」
「仕方ないよ。学生の本分は勉強なんだから」
「そうやってうだうだ悩む前に勉強しろよ。バカのお前のための会だろうが」
「芹川くんは一言余計!しぃちゃんだってやればできるんだから」
「そうだそうだ!」
今日は、中間テスト対策にみんなで集まって勉強会。
学力テストで赤点をとったしぃちゃんのための会でもある。
『一番不安な教科からやろう』
僕がノートを見せると、しぃちゃんは目を輝かせて頷いた。
「やっぱ千秋くんは優しいなぁ」
「甘やかすなよ、久賀。いいかっこしてんな」
「いいカッコじゃなくて、千秋くんは素で優しいんですぅ」
和やかな雰囲気。
僕の周りが彩られてく。
それがただ嬉しくて。