「うまかった。でも、やっぱ最終的にどっちを選ぶかって言ったらやっぱノーマルだな」
食べ終えて一言芹川くんはそう言った。
あれだけ美味しそうに言っておいて結局そうなんだ。
でも、僕も同じかも。
『結局は、シンプルなのが勝つよね』
ノートを見せると、「それそれ」と頷きながら指差す芹川くん。
こうして、同じ気持ちを共有できて言葉を交わすって、こんなにも楽しかったんだ。
「・・・お前さ。俺の事、怖いんだろ?」
少し落ち着いた空気が流れた時、ふと芹川くんが切り出した。
ピクッと身体を揺らし、どういう意図なのかわからず芹川くんを見つめる。
なんと答えたらいいんだろう。
確かに、正直最初は怖かった。
芹川くんみたいなタイプは苦手で、嫌なことを思い出してしまいそうになって。
もし、芹川くんも・・・そう思った時もあったし。
でも。


