せっかくの時間だったのに、あっという間に終わってしまった。
その上、僕のせいで険悪なムードになっちゃったし。
自己嫌悪に陥ったまま、僕がノートにお礼をかきこんでいると。
「こないだ行ったあの公園あっただろ。あそこ行こうぜ。はやく食いてぇ」
芹川くんはそういうとさっさと歩きだした。
え?
え?
まだ僕と一緒にいてくれる?
そこで、一緒にパンを食べてくれる?
嬉しくなって僕も慌てて追いかけた。
「よし。じゃ、いただきます」
意外にも芹川くんは礼儀正しくそう言うと、ぱくっと一口かぶりついた。
そう言えば、お昼とかもちゃんと「いただきます」って言ってるのを思い出す。
不良で有名なのに、なんだかそういうところちゃんとしてるんだっておかしくなった。
「んま!あんまり抹茶抹茶してなくて、でも、ちゃんと風味とか感じる程度には味があって。・・・うん。うまいな、これ」
目を輝かせながら芹川くんは食べ進めていった。
僕も同じように頬張りながら、その美味しさに同じように目を輝かせた。


