「おい、久賀。いくぞ」



授業が終わり、鞄に教科書をしまっていると、慌ただしく芹川くんが振り向いて言った。
いくぞって・・・。
あ、パン屋さん!?



「売れ切れんだろうが!急げ!」



僕は慌ててコクコクと頷くと、鞄に残りの教科書を詰め込んだ。
本当に行ってくれるつもりだったんだ。

そんなにも、メロンパンが好きなんだ。
意外な芹川くんの一面に思わず笑ってしまいそうになる。


「おい、なに笑ってんだ」



あれ。
つもりじゃなくて、思わず笑ってたみたいだ。
慌てて首を横に振るった。



「あ、千秋くんたち、本当に行くの?芹川くん、千秋くんいじめないでよ!」

「はあ?誰が」



僕たちの様子を見てしぃちゃんが声をかける。
芹川くんはむすっとしながら言い返した。