――ごめんね、お母さん。雫さんに酷い態度をとってしまったの。昔の事思い出して・・・それで・・・




ピピピピピピ
電子音に目を覚ます。


ボーッとする頭で起き上がると伸びをしてベッドから降りた。



しぃちゃんがお見舞いに来てくれた日、お母さんが申し訳なさそうに言った言葉。
でも僕は、しぃちゃんに何かを話すわけでもなく、その時の話は全くしてこなかった。


お母さんが酷い態度とったみたいでごめんね。
たった一言それすらも言えなかった。


でも、面談で僕の事を見てくれている人が他にもいることを知って。
僕をわかってくれようとしている人も、確かにいるんだって知って。



傷つけられるばかりじゃないってわかって。




他人を少しだけ信じられる気がした。




「おはよう、ちーくん」




リビングに行くと明るく迎えてくれたお母さんに同じように笑って返す。
僕も、変わっていかなくちゃ。



いつまでも、過去に縛られてたらダメだ。