「あんなに、たくさんお友達ができたのね」
面談がある教室に向かいながらお母さんは嬉しそうにそう言った。
僕は照れ臭く思いながらも頷く。
「よかったわ。本当に」
その言葉におかしくなって、鞄の中からノートを取り出して書きこんでみせる。
『お母さん、この間からそればっか』
お母さんはそれを見て、「そういえばそうね」と言って笑った。
お母さんの笑顔が嬉しい。
ずっと泣き顔ばかり見てきたから。
僕が、ずっとそうさせてきたから。
「面談・・・。将来の事、ちーくんの好きにしなさい。お母さんは、ちーくんが決めたことを、一生懸命応援するから」
いくら僕が泣かせても。
辛い思いをさせたとしても。
お母さんは僕を、変わらず愛してくれて。
変わらず支えて、認めてくれる。
それが、どれだけ僕を救ってくれているか。
きっと、お母さんは知らないでしょ。


