「あ、寝たままでいいよ」




慌てて駆け寄って身体を支える。
触れた身体はまだ少し熱かった。




「千秋くん、ごめんね。風邪、私のせいだよね・・・。昨日あんなに濡れちゃったから・・・」




そう言うと、千秋くんは首をフルフルと横に振った。
きっと謝ってもそう言うだろうとは思ってたけど。



「でも、絶対そうなの。だからちゃんと謝りたくて・・・。それから、お礼も。庇ってくれてありがとう」




おかげで私は濡れなかったし、庇ってくれた事すごく嬉しかった。
ドキドキしたし・・・ってこれは内緒。



『あの時かばえてなくて、風邪をひいたのがしぃちゃんだったら、それこそ僕は落ち込んだと思う。だから、よかったんだよ』



枕元に置いてあったスマホのメモ画面に千秋くんはそう打ち込んで見せてくれた。
ほんと、優しすぎるんだから。



「その言葉、そっくりそのまま返すよ。おかげで私、すごく落ち込んだんだからね」



そう言って膨れると千秋くんは慌てたようにしてスマホに打ち込む。



『ごめん!本当に、気にしないで?僕は平気だから』



不安そうな顔で私を覗き込んだ。