「ちあ・・・っ」





声をかけようと顔をあげた瞬間、引き寄せられた身体。
ドキッとした次の瞬間、水しぶきが千秋くんの背中側から思い切りかかった。


・・・いや、かかったのは千秋くんで、私は千秋くんに護られたんだ。




突然の事に私は動転して目をパチクリさせる。
抱きしめられたことと、突然の水しぶき。
目の前で頭から水をかぶった千秋くんの姿。


水しぶきの原因である車は無情にもなんの謝罪もないままに通り過ぎていった。





「ち、ち、千秋くん!!」




サーッと青ざめる。
千秋くんは、頭から水をかぶって頭から服からびしょ濡れになってしまった。



「ど、どうしよう。ごめんね!私を庇ってくれたから」




慌てて取り出したハンカチで千秋くんの頭とか身体を拭くけれど間に合うはずもなくて。
私はひとりテンパっていた。




「ふっ」



吹き出すような息が聞こえ顔をあげると、そんな私を見てか、千秋くんが笑ってた。