ビックリした。




「あ、千秋くんも今帰り?雨最悪だねぇ」




千秋くんとは帰る方向が違うから、帰りは別々だ。
いつもは「バイバイ」って言って帰るけど、今日は私が職員室に用があって話す間もなく教室を出ちゃったから言えずじまいだった。


千秋くんは鞄からノートを取り出してそこに記していく。
私は書き終わるのを待つ。




『僕、傘もってるから一緒に帰ろう』





優しいまなざしと一緒に向けられた暖かい言葉。
私の心も、ホッとするような、温かくなるような。




「でも、方向違うし、私なら大丈夫だよ」




付き合わせることになっちゃうし。
傘を忘れたのは自分のせいだし。