振り向いた千秋くんは帰り支度を済ませ、今にも帰ろうとしていた。
私の声に立ち止まり視線を私に向ける。




「千秋くん、私、ごめんね。自分の中でいろいろとモヤモヤする嫌な気持ちがあって。それは、千秋くんが悪いわけでもなんでもないのに、千秋くんに対してひどい態度だった」




一生懸命に伝えよう。
きっと、千秋くんはわかってくれようとする。

今までだってそうだった。



「千秋くんと友達でいたいって言ったのは私の方なのに、あんな態度とってごめんなさい」





深く頭を下げる。
しばらく下げていると、肩をトントンとたたかれた。




「え・・・?」

『別に、怒ってないよ。でも、しぃちゃんも言ってくれたけど、僕が何かした時は言って。悪いところは直すから』

「わ、悪いところなんて、ないよ!絶対にない!」



いい人過ぎて眩しいくらい。
千秋くんはノートにまた何かを書き足した。




『だったら僕は、なにも怒ることなんてないよ。一緒に帰ろう』



ああ、ほら。
なんてきれいな心を持った。


優しくて、温かくて、純粋で。
私が大すきになったのは、そんな千秋くんなんだ。




私も、そんな千秋くんに見合った人になりたい。