「あの二人、仲いいよね」
こそっと二人に聞こえないような声でしぃちゃんが話しかける。
僕はそれに頷く。
「いい感じに見えるんだけど、千秋くんどう思う?」
その言葉に、芹川くんと榎並さんをチラリと見ると楽しそうに話をしていた。
僕はポケットの中から紙とペンを取り出してそこに文字を書いていく。
『僕もそう思う。榎並さんも芹川くんもいい顔してるから』
優しい顔をしている。
いつだって怖い顔で睨みつけるようだった芹川くんの表情が榎並さんに対しては和らぐ。
多分本人は無意識なんだろうけど。
「やっぱそう思うよね。うまくいってくれたらいいなぁ。亜衣、すごくいい子だから」
しぃちゃんはいつだって誰かのために。
そういう人だよね。


