あたしは顔を上げることが出来ない。
下を見たまんまでいると声を掛けられた。

『は……おんなのか?羽音なのか?!』

懐かしい……仁。

『う……ん。ひ……さしぶり。仁。』

あたしは決意して顔をあげた。
何一つ変わってない。

『羽音……いままで何処に居たんだよ。』

言えない……言えるわけない。
あたしは強くなるんだから
彼等にもう頼れない……

『どっか。』

ねぇ。おねがい。仁……わかって。

『そうか……あいつらは知ってんのか?』

知らないよ……。

『知らない。おねがい。言わないで。』

仁は切なそうにあたしを見て
前と変わらない笑顔を向けてくれた。