いつか逢えると信じてた。

聞かなくたってわかった言葉。
あたしは此処へいちゃいけない。

きっと兄は表の人間だろう。

『羽音っ』

滉さんが何か言いそうにしていたが
すぐに話しかけた。

『滉さん。今までありがとうございました。

兄代わりになり拓人の代わりになってくれて。

あたしはもう平気ですから。
ただ…1つお願いがあります。』

『なんだ?』

『最後に拓人の部屋に入っていいですか?』

そう。彼の部屋を……懐かしいあの部屋に
最後の思い出として行っておきたいんだ。

『あぁ。』

滉さんは悲しそうに微笑んだ。
なぜ貴方がそんな顔をするのかわからない
けど、あたしは何も聞かない。