滉さんの家を飛び出して
あたしが向かったのは………。

『久しぶり。拓人』

拓人のお墓の前にきた。

『ねぇ?拓人。あたしそっちに言っていい?

もうね、あたし疲れたよ。
もう戻れないね。』

拓人に話しかけていると
足音が聞こえ振り向いた。

そこに居たのは、翔さんだった。
翔さんは黙ってこちらを見ていた。

『ねぇ。翔さん。知っていたんでしょ?
滉さんが恋人ごっこをしているの。』

あたしがそう言って彼を見ていると
辛そうに答えてくれた。

『……あぁ。』

ほら。だからみんな可笑しかったんだ。

『ははっ。そっか。』

あたしは乾いた笑いをした。

『でもっ『やめてっ』』

これ以上、何も聞きたくないのよ。