俺は後悔をした。
会わせてしまえばもう会えないと
分かっていたのに自分で決め会わせ
羽音に酷いことを言ってしまった。

『滉輝』

俺を呼んだのは奏だ。
コイツが羽音の兄貴だと知ったのは
羽音がこの街を出た日から少ししてからだ。

『…』

『他の言い方があっただろ?』

あった。あるに決まってる。
別れたいなんて…恋人ごっこなんて
これっぽっちも思ってなかった。

『あれしか、アイツを進ます事が
出来ないだろ。』

突き放す事しか俺にはできねぇよ。

『不器用な奴だよな。
会わせなきゃ良かったのによ。』

奏は会いたがった。
この言葉はこいつなりの慰めだろう。

『なぁ。奏。』

『ん?』

『羽音は俺を嫌ってくれるだろうか。』

この時、俺の目から雫がこぼれ落ちた。

―END―