いよいよ私に終わりが来たのです。ぐんぐんと私は水底へと沈んでゆきます。口から零れる酸素が泡になって上に消えていくように私の大切な何かが失われていく気がしました。



「せんせ…泣いてるの?」



閉じていた目を開けると愛しいあの人がとても綺麗な涙を流していました。そして先生は言いました。



「…助けてあげられなくてすみません」



そんなことありません。先生は水底に沈む私を何度も暖かい光がさす水面へと引き上げてくれたのですから。






「これは、きっと僕への罰なんだ…願ってはいけない事を願ってしまった僕への報いだ」




嗚呼、泣かないで。今にも先生が自分の涙で溺れそう。私は、いつも先生がしてくれるように先生の冷たい手を握りました。







「先生の願い、私が許してあげる」









深くて暗い水底に沈んでゆくのは私一人でいいのです。私が先生の人魚姫になってあげる、神様の導く光になってあげる。だからどうか泣かないで愛しい人。私は泡になって消えてしまうから。






「先生、好き」














大好き。





















































end.