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「へぇー、お祭りは明日の夜なのに、結構賑わってるんだね…」



祭りの会場は海の近くに設けられており、既に何軒か屋台が出ていた。


いつも東京で行くお祭りとは違い、
なんだかワクワクする。



「あ、おった。」

「瑞季と礼二と慎や。」



晴たちが視線を送る先に、3人が固まって話をしていた。



「よぉ、どーや。準備は。」


「おお、お前ら来よったんか。」


「慎、お前んくの屋台の、なんか食わせろや。」


「図々しいやっちゃのぉ。
おい、親父ー」



慎くんがお父さんを呼ぶと、
ゴツい体の大男が出てきた。


慎くんのお父さん…怖い…。


しかし、晴の顔を見た途端、
ヘラッと孫を見たおじいちゃんのような顔に変わった。



「晴やないの。持ってきー、ほれ。」



そう言うと、慎くんのお父さんは、
店の売り物らしきフランクフルトを晴に何本も渡した。



「ありがとー、おっちゃん。」


さ、さすが…

王様…



呆然とする私の前で晴はもらったフランクフルトを全部一人で平らげてしまった。