うるうると涙目をちらつかせながら上目遣いで謝る恋。怒ったらそう簡単には機嫌を戻さない杏也でさえ、ついつい許してしまうほどの可愛さだった。


「っ!⋯大丈夫⋯っ。全っ然気にしてないから⋯っ!」



すると、恋が灯亞と伊織の方を向いてちょろい、というような表情でウィンクをした。


「えーっと、もう言っちゃうよ?あのね杏也君、俺達と一緒の部屋になりませんか⋯?」


「い、いいの⋯?」



そう聞くと、灯亞が手を差し出して笑った。


「嫌だったら誘わねーよ」


「!」


杏也は灯亞の手を取り、よろしく⋯、と微笑んだ。すると、伊織がなにやら全員の名前を書いた紙を持って机から離れた。