「でもねぇ。遊君ってば人見知り激しいから仲いい人にしか喋りかけないんだよね。お偉い大人とか他人に話しかけられると一応笑顔で応えるけど心が篭ってないんだよねぇ。緊張で。子供とかお年寄りには優しいのに困っちゃうよねぇ。」



ショボンとした顔で話す恋。灯亞も困った顔で話に混ざった。



「なんつーか、かっこいいし完璧だし、仲いい奴らにだけ本性だすってもったいねぇよな。」



こんな感じで暗い雰囲気で話を進めていると、伊織が帰ってきた。


「遊君、強制的に寝かせてきた。なんか、お菓子作りにハマっちゃったっぽくて、遅くまで作ってたんだって。可愛いよね。」



嬉しそうというか楽しかった、というような表情で話す伊織。何をしたかは分からないが、かなり彼にとって酷いことをされたのだろう、と誰もが感じた。


「あ、それよりさっき威月さんが廊下歩いてたから座ったら?」


その話を聞いて、席に戻っていく、といってもすぐそば、近くなので前を向いた程度だ。杏也が席にすわった頃に丁度威月が入ってきた。



なにやら、不機嫌な様子で。