あまりの出来事に驚いていると杏也の横をよたよたと安定のない何かが通り過ぎた。
振り向くとそれはおばあさんが背中に抱えた風呂敷だった。風呂敷は何が入っているのか、大きく膨らんでおり、それが重くてふらふらとしていて今にも転びそうだった。
「っ!おばあちゃん、危ないっ!!」
男性にぶつかりそうになり咄嗟におばあさんを庇うように守る。おばあさんは状況が上手くのみこめないのか、ただただ慌てていた。
「おばあちゃん、大丈夫?これ、重いでしょ?手伝います!」
「いいよぉ...そんな。貴方もまだ若いんだから...たっくさん遊ぶものですよ。」
おばあさんが困ったように、だけどちょっぴり嬉しそうに笑う。
「そんなのいーの!気にしないっ!それに、このままじゃ、おばあちゃんが押し潰れて病院送りになっちゃうでしょ?」

