ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に

「あ、あの?」


その名前、もしかして金魚の?
真綾も知らないと言ってたけど、まさか……


「ケイからとって付けた。着てた浴衣と同じ色合いみたいだったから」

「あ、あのねぇ!?」


幾ら浴衣と同じ色合いだからって、名前まで文字らなくてもいいんじゃない!?


「いいからエサやってみろよ。一粒ずつ食べてから次を入れるんだ」


水に浮かぶタイプのエサを手の平に数粒乗せられた。
親指と人差し指で摘み、ポトンと水の上に落っことした。

海面に赤い顔をした出目金が寄ってくる。
大きな口を開けてエサを吸い込み、スーッと水面下に沈んでいった。


「ほら、もう一度」


促されて繰り返すうちに可愛くなってきた。
パクパクと口を開ける表情も尾ビレの振り方も可愛い。


「スゴく慣れてる」


轟さんが判別できるらしく、私がエサをあげる時よりも喜んで寄ってきた。
指を差し込んでみると、キスをするように吸い付く。


「だって愛してるからさ」


「えっ…」


「ホタルもケイも」


「ええっ!?」


心臓がバクバクするようなこと言わないで欲しい。
どんな顔すればいいかわからなくなる。


「俺を癒したいんだよな」


「えっ…あの、それは……」


きゅっと手首を握られた。


「この部屋の中で存分にそれができるけど?」


ちらっと目線を走らせた先には、大きなベッドが置かれてあって……。