月曜日はまだ良かった。
初日だから喋らなくても不思議がられない。

問題は火曜日以降。
いきなり商品開発グループの一つに入れられて、意見を求められることになった。



「えっ…と、あの……」


頭の中が真っ白で、何を言ったらいいのか分からず押し黙った。
顔の表面が赤くなってくのが感じられて、俯くことしかできなかった。


「まだ異動してきたばかりだからね」


チームを率いる主任の言葉が重かった。
水曜日も木曜日も、上手く話ができずに終わった。


金曜日の午後、お昼休みが過ぎて部署の前まで戻ってきた時……



「あの子大丈夫なの?」


チーム主任の声が聞こえた。


「意見を聞いても黙るばかりでマトモに話もできないんだけど」


心配してると言うよりも呆れてるような言い方だった。


「でも、部長の姪なんでしょ」


話を聞いてるのは同じチームで働く社員。


「使えなくても使わないといけないんじゃない?雑用でもいいから押し付けちゃえば?」


グサッとくるような一言を聞いて、ここでもやっぱり灰かぶり姫なんだと思い知った。


自分では頑張らないといけないと思ってる。
気がついたことは言えるよう、メモを取ったりもしてる。

だけど、日増しに大きくなるのはプレッシャー。
言葉はどんどん喉の奥に葬り去られ、出るのは溜息の嵐ばかり。