お昼休みにされた相談。
相手が社長だとは知らない私達はセクハラかと勘違いして。


『サイテー。この会社にそんなヤツがいるの!?』


誰よと息巻く聖に、真綾が『ナイショよ』と念を押した。


『ここのトップ』


そう言われてピンとこなかった。
「社長」という言葉は、口にするにはあまりにも大きな存在だった。


ぽけっ…とする聖の顔を見て、まさか…と呟いた私。


『もしかして、その相手ってオフィスの社…』


…長なの?と小声で聞いてみた。
真綾は困った様な笑みを浮かべて、コクン…と首を縦に振った。

確かに真綾なら言い寄られても納得するものがあった。
女子社員の中でも一番キレイだと思える容姿をしてるし、目鼻立ちがハッキリしていて髪の毛は天然の茶色。
170センチ近い身長とメリハリのあるボディ。
高校時代から名門の女子校へ通ってて、頭脳だって明晰。

秘書課への採用も頷けるような彼女が、見初められるのもムリはない。
でも、相手はそんな真綾でも尻込みするオフィスのトップ。


『何度も食事に行こうと誘われるの。断ってるけど、最近理由が思いつかなくて……』


迷った挙句、仕方なく誘いに乗ってるうちに社長の人柄に惹かれていった。
結婚式の招待状を渡された時も、初めて相談してきた時と同じ様に困り顔をして……



『来てくれる?』


再来週なんだけど…と言われて狼狽えた。
自分みたいなジミで検品作業をする社員が、社長の結婚式に招かれてもいいのかと思って。