ただあの子になりたくて



まるで悲しみの足かせをつけられたみたいに、その場所を離れない。

そんなこと、私の望んだことではない。

私はやるせなくてスカートをぎゅっと握りしめる。

堪えきれずに立ち上がる。

私は彼にそんな顔をしてほしいのではないのだ。

「笑って、蒼介」

聞こえるはずもない無意味な声で私は叫ぶ。

届け届けと渾身の想いをこめて。

すると彼はふわり顔を上げた。

そして直後に、空を轟音がかけた。