ただあの子になりたくて



読んだ拓斗はちょっぴり拗ねたかもしれない。

でも、そうあってほしいと心から願った。

今、拓斗の手がようやく戸惑いがちに前へ出る。

椿の小さな紺色のブレザーの肩に触れる。

椿が前を向いてこくこくと頷けば、あのナンパ男が慌てふためいて立ち上がる。

私はまた笑いがこみ上げる。

拓斗は着実に前へ進んでいるみたいだ。

私と違って拓斗は強いから大丈夫だ。

この二人を見ていると和やかになる。

私はこの仲間と出会えて本当に良かった。

私はまた後ろ髪引かれる思いで、広い空をゆく。