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靴が、濡れたアスファルトの上に落ちて、裏向きに転がった。

かたいガードレールに軽く腰かけて、私は俯く。

まん丸い青信号の光が路面に映る。

背後を慌てて過ぎ去る車のタイヤが、小さな水しぶきを起こして、転がる靴に水を飛ばした。

こうして見ていると、なんだか、子供のころにやった天気占いみたいだ。

確か、この向きなら、雨だっただろうか。

そんなふざけたことを思いながら、腕で瞼のふちにたまった水をぬぐう。

そして私はふっとため息をつくように笑った。

乾いているところのないブラウスは肌にぴったりと張り付いて、ろくに涙も拭えやしない。