「怒られた事はあまりないかな」
「いいなあ~。うち、毎日よ。毎日」
「はは。里緒の場合は自業自得っぽいけど」
だらっとしている里緒が容易に思い浮かぶ。
「うちの母親口うるさいから。でも、瑠美子のお母さんも綺麗だよね?」
「えっ」
突然話を振られて、言葉に詰まった。
紗奈さんをハッキリとお母さんって言われるのは、どこか違和感を感じてしまう。
彼女を何かの言葉にあてはめないといけないのなら、それは母親ではない。
“同居人”だ。
「瑠美子ん家もでかいんだよ~。凄い綺麗だし。
お母さんも綺麗だったし」
「そうなの?僕も見てみたいな」
「ダメダメ、うちなんて槙野くんの家と比べたら全然。
ん。購買のパン、美味しい~」
なるべく紗奈さんの話題に触れない様に、私は返事をする。
この会話を終わらせたくて、無理矢理別の話題を入れた。



