「ヒコっ、久しぶり」
彩華は人が少ない大学のキャンパスで、にこりと眩しい笑顔を零した。
海に山にと夏を楽しんだことを示すように、顔も身体も小麦色に焼けていた。
そういえば、夏休み前に「10代最後の夏を満喫するんだー」なんて、騒いでいたな、と、伸彦は思った。
「よお」
低く答えて手を挙げる。
朝の10時からテンションを上げる余裕はなかった。
伸彦も彩華も同じ音楽サークルに属していて、別々のバンドを組んでいる。
本日は、大学での練習予定を入れていた。
「皆、機材取りに行ったよ」
大学に部室などないため、大学から少し離れたところに機材置き場を借りていた。
そこに、アンプやドラムセットを置いている。
「そう」
伸彦は肩に担いでいたキーボードを教室の机に置き、煙草を銜えた。
「ヒコは全然日焼けしないのね」
夏休み前と変わらない伸彦を見て、いいなーと、彩華が言う。
「あんまり焼いているとシミできるぞ」
「うわー、何それ。
化粧品売り場のお姉さんにも同じこと言われたけど。
焼かないと夏は楽しめないよ」
そんな夏、やってらんなーい!と、彩華は笑う。
「今日、練習終わった後、予定ある?」
唐突に、笑顔を止めて切り出した。
「………なんで?」
なんとなく嫌な予感がして伸彦は言葉を濁す。
「ダーツ行きたいの。夜でもいいや、時間あるなら付き合ってよ」
彩華がダーツを飛ばす仕草をする。
彩華は人が少ない大学のキャンパスで、にこりと眩しい笑顔を零した。
海に山にと夏を楽しんだことを示すように、顔も身体も小麦色に焼けていた。
そういえば、夏休み前に「10代最後の夏を満喫するんだー」なんて、騒いでいたな、と、伸彦は思った。
「よお」
低く答えて手を挙げる。
朝の10時からテンションを上げる余裕はなかった。
伸彦も彩華も同じ音楽サークルに属していて、別々のバンドを組んでいる。
本日は、大学での練習予定を入れていた。
「皆、機材取りに行ったよ」
大学に部室などないため、大学から少し離れたところに機材置き場を借りていた。
そこに、アンプやドラムセットを置いている。
「そう」
伸彦は肩に担いでいたキーボードを教室の机に置き、煙草を銜えた。
「ヒコは全然日焼けしないのね」
夏休み前と変わらない伸彦を見て、いいなーと、彩華が言う。
「あんまり焼いているとシミできるぞ」
「うわー、何それ。
化粧品売り場のお姉さんにも同じこと言われたけど。
焼かないと夏は楽しめないよ」
そんな夏、やってらんなーい!と、彩華は笑う。
「今日、練習終わった後、予定ある?」
唐突に、笑顔を止めて切り出した。
「………なんで?」
なんとなく嫌な予感がして伸彦は言葉を濁す。
「ダーツ行きたいの。夜でもいいや、時間あるなら付き合ってよ」
彩華がダーツを飛ばす仕草をする。