静人side
まさか、あの晴義がやられるなんて。晴義はベストファイブの中でも、喧嘩はそれはそれは強かった。怒りに任せた力任せのパンチは、一発で相手を倒した。
龍也には負けるが、それでいいと晴義は言っていた。それに、龍也には勝たなくていいと、龍也の配下でいられることが、仲間でいられることが晴義にとっては幸せだったという。
だけれど、本当に驚きだ。龍也には負けるといっても順位で表せばNo. 1が龍也、No.2に強いのが晴義なくらいだというのに。
「どうするんだ、龍也。あの晴義までもがやられちまった。…あの女の子、一体何者なんだ?」
「…皐月、調べてくれるか」
「ん、了解。任せて〜」
喋り方はチャラいが、見た目が見た目なだけあって、皐月は賢い。だから、ハッキングという犯罪だが、そういうことには長けていて、良く喧嘩をふっかけてくる奴らの素性などを念入りに調べてくれたりしていた。
「…あの女は、今のを見て分かる通り只者じゃない。だが、俺たちも、そして残る生徒たちもまだまだいる。心配することはねぇ、災厄の時代なんて起きることはねぇんだ」
俺はまるで、その言葉が俺達を安心させることではなく、龍也が自分自身を安心させるように言っているように聞こえた。
流石にそれはリーダーのことを信じてなさすぎと言えるだろうか?
でも確かに今の俺はこのゲームの成り行きが心配でならない。そんな心配な不安から来るのだろう。
きっと、龍也も皐月も泉も同じはず…。
「すぅ…すぅ…」
その寝息の方に顔を向けると、そこでは泉が気持ちよさそうに眠っていた。
間違えた。泉はそんな事どうでもいいのかもしれない。でも、考えて体力を温存しているか、ただ寝ているだけか。後者の方が泉っぽいのはぽいが、良く俺は泉の事を知らない。
泉といえばいつもマイペースでゆるゆるしていて、そして寝ていることが多かった。闘っているところも見た事はあるが、ほとんど雑魚ばかりを相手にしていた。
というよりも、晴義が暴れすぎて相手が回ってこなかっただけかもしれないが。
でも、泉という人物を俺はそういえば良く知らない気がした。なんてたって、泉とはこの高校入ってから出会ったのだから。
後の四人とは中学校で。それから龍也の自分達で制度を作るという突然の提案に乗り、俺たちは一緒の高校に入ってきた。
泉は、高校に入ってからいつの間にかいたという存在だった。それはもう、空気に混ざり合うように。
泉は、ある意味俺達の中では一番謎多き人物だということだろう。だけど、それだけで仲間はずれというわけじゃない。
俺たちは他の事には冷酷ながらも、唯一仲間のことに対してだけはいつでも大切にしてきた。
それは泉を除く三人とも同じ考えのはず。だけど、泉はどうだろうか?
暴力に対してもあまり乗り気というかやる気がない様子…。
こんな事を今更考えていてもしょうがないか。そういえば、晴義は無事救急車に運ばれて行ったであろうか。晴義は贔屓ではあるが俺たちの仲間…後のものは遅れてもそう対してひどい怪我も追っていないから大丈夫だろう。…今運ばれている最中か。
それにしても…あの子はどこで生徒達を殲滅中なのだろうか。
その時、俺達五人がいた教室に、男子生徒が息を切らした様子で何かを報告しに来たみたいだ…。
静人side end…

